3行まとめ
- ロックアップとは、上場のあと大株主が「しばらく株を売らない」と約束することです。
- 期間は90日か180日が多く、「株価が公開価格の1.5倍以上になったら解除」という条件がつくこともあります。
- 解除されると売りが出やすくなります。誰が、どれだけ持っていて、いつ売れるのかを、目論見書で確かめましょう。
この記事でわかること
- ロックアップの意味と、2つの種類
- 期間と「1.5倍解除」の意味
- 解除で株価が下がりやすい理由と、下がりにくいケース
- 目論見書のどこを見ればいいか
- 今のIPOでの「1.5倍」の値段と解除の時期
1. ロックアップとは?
ロックアップは、IPO(新規上場)のあと、大株主が決まった期間は株を売らないと約束することです。大株主とは、社長や役員、投資ファンド(ベンチャーキャピタル、略してVC)などです。
目的は、上場してすぐに大株主の売りがまとめて出て、株価が急に下がるのを防ぐことです。IPOに申し込む人にとっては、「上場のあとに売りが出やすいか」を判断する材料になります。
2. ロックアップには2つの種類がある
取引所のルールで決まっているものと、大株主が証券会社と約束するものがあります。ふだん「ロックアップ」と言うと、後者を指すことが多いです。
| 種類 | だれが決める | 主な中身 |
|---|---|---|
| 取引所のルール(制度ロックアップ) | 証券取引所 | 上場の直前に株を割り当てられた人は、上場から6か月は原則売れない |
| 証券会社との約束(任意ロックアップ) | 大株主と主幹事の証券会社 | 90日・180日などの期間や、1.5倍で解除などの条件を、銘柄ごとに決める |
取引所のルールは、上場の直前に安く株を手に入れて、すぐ売る人が出ないようにするためのものです(EY新日本の解説より)。
3. 期間と「1.5倍解除」の意味
約束には、期間で決めるものと、株価で決めるものがあります。両方がついているときは、先に条件を満たした方で解除されます。
- 期間:上場から90日、180日などがたつと売れるようになります。
- 株価の条件:株価が公開価格の1.5倍以上になると、期間の途中でも売れるようになります。2倍などの場合もあります。
たとえば公開価格が1,000円で「180日、ただし1.5倍で解除」なら、株価が1,500円以上になった時点で売れます。株価が上がらなければ、180日間は売れません。
このため、株価が「公開価格の1.5倍」に近づくと、「ファンドの売りが出るかもしれない」と考える人が増えます。その値段の近くで、上がりにくくなることがあります。
4. 解除で株価が下がりやすい理由
理由は、売れる株が一度に増えるからです。買いたい人の数が同じなら、売りたい株が増えるほど、値段は下がりやすくなります。
特に、次のような銘柄は注意して見ておきましょう。
- ファンドの持ち分が大きい:ファンドは、いつか株を売ってお金を出資者に返すのが仕事です。そのため売りが出やすくなります。
- 期間が90日と短い、または1.5倍解除がついている:上場後に株価が上がると、すぐに売れる状態になります。
- 解除の日が近い:解除の前から売りを警戒して、株価が重くなることもあります。
逆に、社長や創業者が多く持っている銘柄もあります。1.5倍解除のない180日のロックアップなら、上場直後の売りは出にくいと考えられます。ただし、解除のあとに必ず下がるわけではありません。業績がよければ、売りをこなして上がることもあります。
5. 目論見書のどこを見ればいい?
ロックアップの中身は、目論見書(IPOの内容やリスクを説明した書類)に書かれています。目論見書は、証券会社のIPOのページや会社のホームページで読めます。
- 「第1部 証券情報」の終わりの方にある「ロックアップについて」を探す(PDFなら「ロックアップ」で検索すると早いです)
- 対象になる株主の名前と、期間(「上場日後90日目の日まで」など)を確かめる
- 「発行価格の1.5倍以上」などの解除の条件があるかを確かめる
- 「株主の状況」の表で、その株主が何%持っているかを確かめる
上場時に保有する株をすべて売り出す株主は、ロックアップの対象になりません。対象外の株主がいる場合も、目論見書に書かれています。
当サイトの分析:今のIPOで見る「1.5倍」と解除の時期
2026年10月下旬〜11月に上場する銘柄のうち、公開価格が決まった2つと、仮条件が出ている1つで計算しました。
| 銘柄 | 1.5倍の値段 | 1.5倍解除の対象 | 90日の目安 |
|---|---|---|---|
| MabGenesis(公開価格830円) | 1,245円 | ファンド3つ(合計約37%) | 2027年1月末ごろ |
| トグルHD(公開価格4,040円) | 6,060円 | ファンド2つと個人1名(合計約7.7%) | -(全員180日) |
| RECEPTIONIST(仮条件の上限850円) | 1,275円 | ファンド3つ(合計約26.6%) | 2027年2月上旬ごろ |
MabGenesisは、上位5名のうち3つがファンドで、90日・1.5倍解除です。上場後に株価が1,245円を超えると、合計で約37%を持つ株主が売れるようになります。
トグルHDは、社長とFuni(株)(合計約72.5%)に1.5倍解除がなく、180日間売れません。1.5倍で売れるようになるのは約7.7%だけで、MabGenesisとは大きく違います。
このように、同じ「ロックアップあり」でも、中身は銘柄ごとに大きく違います。正確な解除日は、各社の目論見書で確認してください。株主構成とロックアップは、IPOカレンダーの銘柄ページにまとめています。
よくある質問
ロックアップの期間はどれくらいですか?
90日か180日が多いです。ただ銘柄によって違い、2026年11月上場予定のestieのように、512日間と長いケースもあります。
「1.5倍解除」は、株価が1回でも1.5倍を超えたら解除ですか?
条件は目論見書に書かれていて、銘柄ごとに確認が必要です。「取引所での売買価格が公開価格の1.5倍以上になった場合」のように書かれるのが一般的です。
ロックアップが解除されると、株価は必ず下がりますか?
必ず下がるわけではありません。ただ売れる株が増えるため、下がりやすくなります。持っている株主の顔ぶれと割合も合わせて見ておきましょう。
関連記事:IPOとは?/ブックビルディングとは?/IPOカレンダー
出典
- EY新日本:上場前の第三者割当増資等に関する規制(継続保有)
- 三菱UFJ eスマート証券:わかりやすく解説!IPOとロックアップとは?
- IPO初心者の部屋:IPOスケジュール・各社の詳細
- 日本取引所グループ:新規上場会社情報
この記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄への投資を勧めるものではありません。投資の判断はご自身でお願いします。(免責事項)

